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チェルシー・フラワー・ショー2019
チーム“Kampo no Niwa”ゴールドメダルへの軌跡Ⅱ 白井達也

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チェルシー・フラワー・ショー2019チーム“Kampo no Niwa”ゴールドメダルへの軌跡 白井達也

 

私たち施工主3人(オーティス、ウィル、私)の拠点は、ロンドンから北に160kmの所にあります。道具や一部資材満載のバン2台で朝5時出発。道中ワクワクドキドキ。先にロンドン入りしていた柏倉一統さんと佐藤未季さんと待ち合わせ、いざ現場入りです。

 

チェルシーフラワーショウの庭部門は3つのカテゴリーに分かれています。ショウガーデン(Show garden)部門、アーティザン(Artisan)部門、スペース・トゥ・グロウ(Space to Grow)部門。Kampo no NiwaはSpace to Grow部門で、12m x 6mの横長の庭です。シンプルで清らかなこの庭のデザインには、さまざまな要素が凝縮されています。グリーンオークのパーゴラ、ドライストーンウォール、コルテン鋼のリル(水の流れ)やレイズドベッド(一段高い花壇)、ペービング(敷石)、小川、滝、池、フェンス、樹木、植栽。これだけのマテリアルがそこかしこに散りばめられているのに、絶妙な一体感があるのは、これらすべてが数珠のようにつながり、妖艶に絡み合っているからなのです。そのため一つのエリアが終わったら次という工法が取りづらい中、短い工期で仕上げなければなりません。時間短縮のために一部資材は加工済みということもあり、少し寸法がずれただけで、庭全体に影響するという職人泣かせの施工でした。作業時間は朝7時から夜8時まで。このカテゴリーは13日間で仕上げなければなりません。

施工開始 2019年5月6日

初日は位置出し、掘削作業です。柏倉さんと佐藤さんにより四隅に京都上賀茂神社の御砂がまかれ、施工開始前に、私も一緒に工事の無事を願ってお祈りをしました。なんの前触れもなくお祈りを始めたので、イギリス人の同僚達は「え?え?今のなんだ?」とびっくりしていました。

 

水糸を張り、位置出しをし、石壁の基礎部分と庭の背後に並ぶプリーチドヘッジ(根もとから約1メートルの幹がむき出しの生垣)が入る部分の掘削開始です。掘り上げた土は会場内にある土置き場へ、ダンバートラックで運び入れます。施工2日目に届くように手配していたモルタル用の砂やコンクリート用のバラストが、どういうわけか私たちの現場入りより2日も前に配達されていたため、これ幸いと一気に基礎用のコンクリート打ちもしました。チェルシーで使うモルタルやコンクリートは、施工にかかる13日と、ショウ開催6日間の後、3日で解体することを考慮し、必要最低限の強さで打ちます。予定外の基礎コンクリート打ちができたこと、2日目に配達される予定のプリーチドヘッジや、資材の受け入れ態勢が整ったので、初日はこれで終了。翌日に備えて宿に帰りました。

 

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Kampo no Niwaがこれからつくられるブランクキャンバス

 

閑静な住宅地の一角にある宿。多い時は13人が寝泊まりしました。工期前半は柏倉さんによるランチ用のサンドイッチづくりから1日が始まり、夜はみんなでテーブルをかこんで夕食をとり、各々の時間を過ごして翌日に備えます。現場が終わるのが夜8時のため、夕食、シャワー、翌日の打ち合わせなどをしていると、どうしても0時をすぎてしまいますが、学生時代の合宿さながら、宿で過ごす時間は楽しいものでした。

 

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宿からの眺め(パノラマ撮影)

 

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食事風景。初日なのでメンバーの数がまだ少ない

 

2日目

2日目以降、会場全体がどことなく忙しくなってきました。というのも、初日5月6日は月曜日でしたが、毎年5月の第一月曜日はバンクホリデーと言ってイギリスの休日で、チェルシーの現場は動いているけれど資材屋や運送屋はお休みです。そのため、止まっていた配達が2日目の火曜日に行われます。庭の向かいに面している通路の両脇には、会場内で働く人たちの車両が所狭しと並び、その間を縫うように、会場内の目的地に向かう大型トレーラーを含めてさまざまな車両が行き交います。

 

われわれの庭にも、続々と資材が届きはじめ、前日打ったコンクリートの基礎の上に石壁の骨組みとなるコンクリートブロック積みが始まりました。高さ1.7m、幅1m、長さ約4mの箱状です。自分の背の高さまで積むことになるので作業効率を考えて、軽量ブロックを注文していたのですが、困ったことにミディアムウェイトと、ヘビーウェイトの混ぜ合わせが届いてしまいました。しかし、送り返して軽量ブロックを再配達してもらう時間的余裕はありませんし、再配達がいつになるかもわかりません。泣く泣く重いブロックを受け入れることにしました。

 

そして庭の背景となるプリーチドヘッジもブロック積みと同時にはじまりました。あらかじめ掘っておいた幅90cm長さ12mの溝。プリーチドヘッジの幹がむき出しの部分と根鉢の大きさから仕上がりのプリーチドヘッジの高さを計算し、溝の深さの調整をします。チェルシーではクレーン車の使用は限定されているため、私たちはテレハンドラーと呼ばれる大型のフォークリフトで木の移動や上げ下げをしました。なにせ根鉢だけで、幅85cm高さ70cmあり、ヘッジそのものの高さは4m以上あるので、一度で決めてしまいたいのですが、そううまくはいかないこともあります。微調整をしながら高さを揃えていきます。そしてこの庭のメインの樹木であるコブシの木。樹高が5m、樹幅3.5m、根鉢は幅1.5m、高さ0.8mの大きな木です。これこそ一度で位置と高さを決めてしまいたい。コブシの木が入る予定の周りのガーデンフィーチャー(構造物など)の位置関係を何度も確認して一気に落とし込みます。この日の夜、日本からランドスケーパーの府川洋史さんが到着し、チームに加わりました。

 

 

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ブロック積みとプリーチドヘッジ

 

3日目以降

 

プリーチドヘッジと樹木がはいったのでブロック積みと同時進行でコルテン鋼設置がはじまりました。まずは庭の背景のプリーチドヘッジを囲う全長12m高さ60cm(地上部)のコルテンのレイズドベッド設置です。2mのパネルを組み合わせて細長い箱状に仕上げます。この作業は単純ですが神経を使います。手についた油分がコルテンに付着すると跡が残り、その部分だけ錆びの進行が止まってしまいます。またシャープなもので傷をつけたりするとせっかくの錆びが剥げて鋼材の地肌がでてきてしまいます。ペンキを塗ったところに引っかき傷をつけてしまうのと同じです。設置と同時に、錆びを進行させるために噴霧器で水を吹きかけては乾燥させ、また吹きかける、を繰り返します。薬品を使ったり、塩水を使って錆びの進行を早める方法もあるのですが、ムラなく仕上げるには真水がよいことを経験から学びました。背景部のコルテンができたら手前の低いコルテン鋼のエッジです。こちらは低いレイズドベッドになるのと同時に、ペービングの縁取りの役割も果たすため角度や位置を何度も確認しながら固定します。

 

 

 

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雨でぐちょぐちょの現場。プリーチドヘッジの足元のコルテン鋼が完成したところ。中央にみえるのは桜の木。まだ高さが決まっていないので傾いている

 

日本ではコッツウォルズのドライストーンが流行っていると聞きますが、漢方の庭で使われた石は、私たち施工チームの地元でもある、イギリス中部の町スタンフォード周辺で採れるクリプシャムストーンと呼ばれる石です。今回はドライストーンウォール方式で積むことから、石の扱いに慣れている職人3人を呼びました。手際よく石の選別をして整形をして、どんどん石が積まれます。ある程度クロップ(整形)してあるとはいえ、石一つひとつに個性があります。それでも隣同士上下の石がぴったり折重なり、あっという間にブロック壁が隠れていきます。

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丁寧かつ大胆に積まれたドライストーンウォール

 

施行中、頭を悩ませた工事の一つが雪解け水をイメージする水周りでした。人の背丈ほどの高さの石壁の上に仕込まれたコルテン鋼のリルと、腰の高さに作られた吹き出し口から水が落ち、小川を形成します。その小川はくつろぎの場所を横断し、階段一段分下がった通路に沿って流れ、レイズドベッドに横たわるコルテン鋼のリルにつながります。この庭の隅々を旅した「雪解け水」は植栽の中にひっそりと佇む池へ注ぎ落ちます。その水はポンプで汲み上げられて、元の石壁の上のリルに戻る仕組みです。水が、上部コルテン鋼リル→大滝→上部小滝→上部小川→下部小滝→下部小川→下部コルテン鋼リル→池→そして最初の上部リルへと循環する中で、水漏れなく施工しなければなりません。小川の形状に合わせて、ゴムでできたシート状のポンドライナーをつなぎ合わせて糊付けし、各所の予定水位や水漏れが出ないように確認しながら折り紙をするように形を整えます。そこまで気を使っても水漏れするのがウォーターフィーチャー。テスト循環させながら、水漏れ場所を特定し修正します。

 

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小川の流れに合わせてポンドライナーを広げるウィルとその作業を見守る柏倉さん

 

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小川を縁取る石はとある屋敷の壁をリクレイム(再利用)したしたもの。水の流れに個性を持たせる立役者で、石の置き方一つで表情が変わってくる。家の壁に使われていた石なので、整形された物が多く扱いづらい中、石とじっくり向き合って綺麗な水流を作ってくれたのは先述の府川さんだ

 

パーゴラはイギリスのハードウッドといえばオーク材です。パーゴラの下にテーブルセットが置かれ、憩いの場を演出するのに欠かせない存在です。柱と柱の間合いが広いことによるアーチ部分のたわみ防止と、12m×6mの庭の中で存在感を引き出すために、太め(15cm角)のグリーンオーク(切り出し無垢)が選ばれました。テレハンドラーで吊るされた全長3.5mのアーチ部分を男4人が束になって左右にゆすりながらゆっくり柱にはめ込みます。ところがこのグリーンオーク、存在感と重厚感に溢れるもののアバレることで有名で、家具職人のデーブが彼のワークショップであらかじめ捻りや反りを想定しながら接続部分の加工をしていましたが、7本あるパーゴラの1番目からうまくはまりません。試行錯誤の上なんとかはまりましたが、焦れば焦るほどチームワークが崩れてうまく行きません。まもなく皆がコツを掴み、この後に続く6体のアーチもほどなく完成しました。

 

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パーゴラの柱とドライストーンウォール。中央にはサイズ別に選別された石が山積みされている

 

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テレハンドラーに吊るされたアーチ部。問題の1本目

 

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7体のパーゴラが柱におさまり、家具職人デーブが最後の仕上げ調整をしている

 

会場内に入る植物を粉塵から守るために石材の加工に期限が設けられています。後期後半、会場設置のための車両が増えるために、テレハンドラーやショベルカーなどの重機も撤収しなければなりません。ペービング(敷石)とコーピング(笠)の工事が始まったのは工期後半に差しかかったころで、まもなく石の加工ができなくなる時でした。雪を思わせる白いペービングとコーピング。ダイアモンドブレードで整形され、サンドブラスト仕上げの石。加工に欠かせないのが水切りできるエンジンカッターで、チェルシーのためにウィルが新品を購入しました。その新品のエンジンカッターが工事半ばで動かなくなるというハプニングが発生しました。あとでわかったのですが、前日の作業終了時にカッターを水ですすいだ時に、排気口から水が大量に入ってしまったことが原因でした。急遽カッターをレンタルしたのですが、これがまた不調。そして工事に遅れがでてきて気持ちが焦ります。レンタルしたカッターはウィルが持ってきたカッターと別メーカーのもので、実は混合燃料に使うオイルが特殊なものを使わなければならなかったのです。レンタルした時にそういった説明がなかったためにそのことを知らず、一般的なオイルを混合したのが不調の原因でした。

 

それがわかってカッターの調子がよくなってから工事が飛ぶようにすすみましたが、今度はコーピングに問題発生。コーピングは段差の縁に使われる石で、角が丸くなるように加工されています。ドライストーンウォールの上にも同様のコーピングが使われているのですが、四隅に来る石は二辺が加工されていなければならないのですが、注文通りではなかったのです。このペービングとコーピングのサプライヤーと、「石に問題があった場合24時間以内に対応する」という取り決めをしていたので、急遽石工を呼び、現場で加工してもらいました。結局、先述の石材の加工期限を過ぎても終わらず、RHSの許可をもらい、石切期限の翌日にやっとペービング・コーピングが完成したのでした。

 

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ペービング(敷石)

 

 

植栽が始まる

植栽に使う樹木以外の植物は、工期中頃から次々と届き始めました。トローリーに乗せられた状態で管理する予定でしたが、手違いから植物をトローリーから降ろして返却しなければいけなくなりました。しかも、その頃ハードランドスケープの工事に遅れが出ていたため、現場前のストックエリアは資材にあふれ、植物を置く隙間などありません。屋外に植えられる植物なので、屋外で管理するのが理想でしたが、会場中央に設置された植物生産者用の展示ブースが入る巨大マーキー(テント)の中はまだ作業が始まっていなかったので、片隅に植物を置かせてもらいそこで管理し、ストックエリアに空きが出来次第、順次外に出すことになりました。

 

植物の手配は、前回に記述したように波乱万丈でした。植物に強いオーティスが何件ものナーセリーと交渉して、デザイナーの柏倉さんと佐藤さんと一緒に植栽リストを何回もにらめっこして数量調整してやっと手配した植物でしたが、あるサプライヤーからキャンセルされてしまったこともありました。こうして集めた植物なので、一つひとつの植物に名前をつけたくなるほど貴重です。そして、ここで日本からきた植栽チームが大活躍します。冨木悠さん、八森純子さん、花房美香さん、森由佳さん。植物のクリーニングや水やりにはじまり、柏倉さんと佐藤さんの指示の元、ハードランドスケープの作業の妨げにならない場所から手際よく植物が植えられていきます。植えられてからもできるだけ自然に見えるように向きを変え高さを変えたりなどの微調整、葉面のクリーニング、樹木の幹を磨く、コンポストの補充、そして水やりなどの細かい作業が審査直前まで続きます。

 

 

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手前から佐藤未季さん、柏倉一統さん、花房美香さん、八森純子さん、森由佳さん、冨木悠さん。ハードランスケープの工事に遅れが出ていたが、植栽チームの手際よい仕事のおかげで、工事のほとんどがアセスメントと呼ばれる1次審査(土曜日)前には終了した

ジャッジ当日

最終審査であるジャッジは、アセスメントの翌日の日曜日の朝から行われたのですが、審査員達がやってくるまで、庭の仕上がりに対して気が抜けません。ジャッジ前夜、会場に小雨が降りました。植物にはありがたい雨ですが、グリーンオークのパーゴラには迷惑な雨。グリーンオークは切り出したばかりの生木です。水に触れると、ブリーディングといって赤茶のシブが滲み出すのです。そうならないように材木をオイルでコーティングしたのですが、しすぎるとせっかくのグリーンオークの質感が失われてしまうため、コーティングは薄めにしていたのです。そのためパーゴラの下の白いペービングに赤茶のシミがついてしまったのです。チェルシーに限らずどのフラワーショーやガーデンショーでもそうですが、トラブルはつきもの。次々降りかかるトラブルとどう付き合うかが成功の鍵といっても過言ではありません。赤茶のシミはモルタル汚れなどを落とすための酸を使ってブラシでゴシゴシ洗い流します。ジャッジはもうすぐやってきます。時間とのたたかいです。シミを落とし、植物の状態を100%まで高めた頃、RHSの使者がやってきて、審査に入ることをわれわれに伝えます。できることを最後までやり抜いたチームKampo no Niwaスタッフは庭を後にしました。

 

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グリーンオークから出たシブによる汚れ

 

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審査直前。朝6時から会場入りし、シブの除去と植物の最終調整をするメンバー

 

 

結果発表

ジャッジが行われた翌日の月曜日はプレスデー。そしてチェルシーフラワーショウ開催初日である火曜日の朝、審査結果の発表がおこなわれました。結果は「ゴールド(金賞)!」。私は結果を自宅で知りました。感無量でした。Kampo no Niwaの様子をご覧ください

 

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18-20

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22-23

 

そして解体

2週間の施工、プレスデーも含めて6日間のショウ期間を無事に終え、庭の解体がはじまりました。手塩にかけてつくった庭ですが、悲しいかな、解体もわれわれコントラクターの仕事です。植物はポットに鉢上げし、ペービングが次々に剥がされます。ドライストーンウォールもあっという間になくなりました。

 

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ポットアップした植物はチャリティー団体に寄付

 

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解体はデザイナーにはもちろんのこと、コントラクターにとってもとても辛い瞬間

 

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瓦礫の撤去を見守る柏倉さん

 

おわりに

世界最高峰のフラワーショーと言われるチェルシー・フラワー・ショー。ショー期間中は毎晩BBCで特番が組まれます。これだけ注目される中で出展するデザイナー達の肩には大きなプレッシャーが、そして、施工する側にもまた違った形でプレッシャーが重くのしかかります。幾度となく検討を重ね、打ち合わせをし、本番に望みます。それでも予期せぬ事態が発生するもの。そんな時助けてくれるのはチェルシーの会場で共に頂上を目指す他のガーデンの施工者達です。「急いでセメントが必要なのだが少し分けてもらえないか」「転圧機の調子が悪いから1時間ほど貸してもらえないか」「ここをこうしたらきっともっとよくなるよ」といった具合に、助け合い精神がそこかしこでみられます。そして、今回、Kampo no Niwaの準備・施工を通して、素晴らしいチームに出会い、デザイナー、造園班、植栽班が皆一丸となって素晴らしい庭を作り上げる場に参加できたこと、それは自分にとって大きな宝ものになりました。

 

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 白井達也 Profile
(しらい たつや)
ガーデンデザイナー、ランドスケーパー
イギリスでガーデンデザインを学んだ後、デザインするには現場を知らなければならないと感じ、イギリスの造園会社で研修。日本の造園会社にて数年勤務を経て再び渡英し、ランドスケーパー兼デザイナーとして就職した後独立。在英13年。2019年、チーム“Kanpo no Niwa”で施工を務めゴールドを受賞。

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